開業から1〜2年目、運転資金が手薄になり「日本政策金融公庫の追加融資」を検討する鍼灸院オーナーは多いはずです。しかし、開業時の融資と追加融資では審査の観点が全く違います。実績ゼロから「将来性」で借りた1回目と違い、追加融資は「これまでの実績」が問われます。
この記事では、鍼灸院オーナーが追加融資を通すための完全ガイドを、6つの観点から具体的に解説します。「なんとなく相談に行く」のではなく、準備して通すためのガイドです。
追加融資を相談したいんですが、断られるのが怖くて踏み出せません…
準備すれば通る確率は大幅に上がります。今日は『通すための準備』を順番に解説しますね
こんな悩み、抱えていませんか?
全部当てはまります…公庫に相談したいけど、どう動けばいいか分からなくて
公庫は事業継続を支援する立場です。準備して相談すれば話を聞いてもらえますよ
- 開業時の借入が手元に半分以下しか残っていない
- 月次の資金繰りに不安を感じている
- 公庫に追加融資の相談を考えている
- 1回目の融資審査のことをほぼ覚えていない
- 事業計画書をどう書き直せばいいか分からない
- 面談で何を聞かれるか不安
- 「通らなかったらどうしよう」と動けない
ひとつでも当てはまるなら、最後まで読んでみてください。
追加融資が必要になるタイミング|「いつ動くか」を間違えない
追加融資って、お金が無くなってから動くものですよね?
逆です。『余裕がある時に動く』が鉄則です。理由を解説しますね
追加融資は「お金が無くなってから動く」のではなく、「余裕がある時に動く」のが鉄則です。
動くべき正しいタイミング
タイミング①:手元資金が6ヶ月分の固定費を切った時
事業の固定費+生活費の6ヶ月分が手元にあるうちに動き始めます。この段階なら準備に2〜3ヶ月の余裕があります。
タイミング②:3ヶ月連続で月商が想定を下回った時
経営計画と実績にギャップが出始めた段階。早期に動けば選択肢が多いまま準備できます。
タイミング③:成長投資が必要になった時
設備更新・採用・分院展開など、前向きな投資のための追加融資。攻めの融資の方が審査も通りやすい傾向です。
動くべきでないタイミング
NG①:手元資金が1ヶ月分を切った時
緊急融資扱いとなり、審査が厳しくなる。事業計画書を準備する時間もない状態。
NG②:返済遅延が発生した後
返済遅延がある状態では追加融資はほぼ通りません。先に既存借入の条件見直しが先。
NG③:直近3ヶ月が大幅赤字の時
赤字が大きいと審査が厳しい。「立て直し中」の根拠が必要。
→ 関連:鍼灸院 開業時の借金返済プレッシャーから抜け出す経営設計
公庫が見る3つの数字|審査の本質
公庫って、具体的に何を見て審査するんですか?
3つの数字を見ます。返済能力・自己資金比率・売上成長性。順に解説します
公庫が追加融資の審査で見るのは、3つの数字が中心です。
審査数字①:返済能力(最重要)
返済能力 = 直近3ヶ月の月次利益 × 12 ÷ 年間返済額
- 1.5以上:余裕で通る
- 1.0〜1.5:交渉次第で通る
- 1.0未満:厳しい(条件付き or 否決)
例:
- 月次利益:10万円
- 年間利益:120万円
- 既存返済:年48万円 + 追加返済:年60万円 = 108万円
- 返済能力:120 ÷ 108 = 1.11 → 交渉次第で通る
審査数字②:自己資金比率
自己資金比率 = 自己資金 ÷ 総投資額(含む新規借入)
- 30%以上:余裕で通る
- 20〜30%:通常通る
- 10〜20%:交渉次第
- 10%未満:厳しい
審査数字③:売上成長性
- 過去3ヶ月の月商推移が右肩上がりだと評価UP
- 前年同月比で20%以上UPなら高評価
- 横ばいでも、事業計画書で成長根拠が示せれば可
3数字を整える事前準備
審査前の3〜6ヶ月で、以下を整えます:
1. 月次利益の改善(固定費圧縮・客単価UP) 2. 自己資金の積立(毎月3〜5万円でも) 3. 月商成長の実績作り(直近3ヶ月で前月超え)
→ 関連:鍼灸院 1年目の正直な年商レポート|月50万→月100万への階段
事業計画書の作り直し方|1回目とは別物
事業計画書って、開業時と同じ書き方でいいんですか?
全然違います。追加融資版は『実績ベース』で書き直す必要があります。順に解説しますね
開業時の事業計画書と追加融資の事業計画書は、全く別物です。1回目は「将来性」、追加融資は「実績+成長性」が問われます。
追加融資版 事業計画書の構成
セクション1:これまでの実績(最重要)
- 開業からの月別売上推移
- 患者数推移(新患・リピーター)
- 客単価推移
- 主な集客導線とその効果
セクション2:直近3ヶ月の数字
- 月商・月次利益・キャッシュフロー
- 試算表(簡易PL)
- 通帳の動き
セクション3:追加融資の使途(具体的に)
- 何にいくら使うか(明細)
- いつ使うか(時期)
- それによって何が起きるか(数字根拠)
セクション4:今後3年の事業計画
- 月別の売上計画(年×3)
- 月別の利益計画
- 返済計画(月次返済額×返済期間)
セクション5:返済原資の根拠
- 月次キャッシュフロー予測
- 想定リスクと対策
- 万一の時のセーフティネット
書く時のコツ
- 数字は控えめに(楽観的な予測は信頼を下げる)
- 具体的な根拠を毎セクションに添える
- A4で10〜15ページが目安(多すぎても読まれない)
面談で聞かれる質問と回答|10の典型質問
面談で何を聞かれるか分からなくて、それも不安なんです…
10の典型質問があります。事前に回答を準備すれば大丈夫です。順番に解説しますね
公庫の面談で聞かれる質問は、ほぼ毎回同じパターンです。10の典型質問に事前に回答を準備すれば、不安は半減します。
典型質問10個と回答ポイント
Q1:「追加融資の目的は何ですか?」
- 「運転資金の補強」だけでなく、具体的な使途を明示
- 例:「今後3ヶ月の固定費+新規導線(HP整備・MEO強化)への投資」
Q2:「過去1年の売上推移を教えてください」
- 月別売上を紙で提示(口頭だけでは伝わらない)
- 良い月・悪い月の理由を説明
Q3:「直近3ヶ月の利益はどのくらいですか?」
- 試算表を提示
- 利益=売上−固定費−変動費−生活費の計算式を明示
Q4:「追加融資の返済原資はどこから出ますか?」
- 月次キャッシュフロー予測を提示
- 「現状の利益+成長分」で返済可能と根拠説明
Q5:「新規導線の具体的な施策は?」
- MEO・口コミ・LINE運用などの具体施策
- それぞれの期待効果(新患数)
Q6:「もし計画通り売上が伸びなかった場合、どう対応しますか?」
- 固定費圧縮・客単価UP・休眠客アプローチなど保険プラン
- 「最悪の場合のシナリオ」を準備していることを伝える
Q7:「自己資金の積立状況は?」
- 通帳を提示
- 「月X万円の積立を続けている」と実績で示す
Q8:「家計と事業は分離していますか?」
- 事業口座・家計口座・貯蓄口座の3口座体制を説明
- 「生活費は月固定額」と伝える
Q9:「税理士はいますか?」
- 顧問契約 or スポット相談の状況
- 「月次試算表を作成している」と伝える
Q10:「他の融資・借入はありますか?」
- 既存借入を全て正直に申告
- 隠すと信頼喪失で即否決
面談の準備物
- 事業計画書(10〜15ページ)
- 試算表(直近3ヶ月)
- 通帳(事業+自己資金)
- 月別売上一覧表
- 確定申告書(1年目分)
→ 関連:鍼灸院 開業1年目の確定申告 完全ガイド
審査に通る決算書の整え方|「見せ方」が重要
決算書って、何か工夫できることがあるんですか?
数字は変えられませんが『整理の仕方』で印象が変わります。3つのポイントを解説します
決算書(確定申告書)の数字は変えられませんが、「整理と説明の仕方」で印象は変わります。
整え方①:勘定科目の見直し
- 雑費が多すぎると印象が悪い → 適切な勘定科目に振り分け
- 例:「消耗品費」「通信費」「水道光熱費」に分散
整え方②:経費の説明資料
- 大きな経費(家賃・広告費・設備費)は説明書を添付
- 「何のための支出か」を1行で明示
整え方③:減価償却の見直し
- 設備の減価償却を正しく計上しているか
- 計上ミスがあれば修正申告で訂正
税理士に相談すべきタイミング
- 追加融資申請前の1〜2ヶ月前
- 月次試算表のレビューを依頼
- 「公庫の追加融資面談を控えている」と伝える
業界の感覚として、税理士のスポット相談料は1〜3万円程度。融資が通れば即回収できます。
→ 関連:鍼灸院 開業1年目の確定申告 完全ガイド
追加融資後の返済設計|「借りた後」の経営
追加融資が通った後、どう返していけばいいですか?
3つの設計が必要です。返済計画・キャッシュフロー管理・成長投資。順番に解説します
追加融資は「借りた瞬間がゴール」ではありません。借りた後の返済設計が本番です。
返済後設計①:月次返済額を売上から先取り
- 売上が入ったら最初に返済額を別口座へ
- 「返済原資」を毎月確保する習慣
返済後設計②:月次キャッシュフロー管理
- 月末に通帳の動きを必ずチェック
- 「今月の手残り」を毎月把握
- 配偶者と月1回の家計ミーティングで共有
返済後設計③:追加融資の効果検証
- 融資資金の使途が計画通りか3ヶ月ごとに確認
- 想定した売上効果が出ているか検証
- 出ていない場合は早めに修正
公庫担当者との継続関係
- 半年に1回、近況報告を兼ねた面談
- 良いニュース(売上UP)も伝える
- 困った時だけ駆け込むのではなく、継続的な関係
これで3回目の融資が必要になった時にも、スムーズに動けます。
まとめ:追加融資は、準備で通せる
タイミング・3数字・事業計画書・面談・決算書整理…全部準備すれば通せるんですね!
準備すれば通る確率は大幅に上がります。今日から動き始めましょう
追加融資は、「お願いして借りる」ものではなく、「準備して通す」ものです。タイミング・3数字・事業計画書・面談対策・決算書整理──。この5つを整えれば、審査に通る確率は大幅に上がります。
最後に、この記事を読んだ今日から始められる3つのアクションを整理します:
1. 過去12ヶ月の月別売上を表に整理(事業計画書の土台) 2. 公庫担当者に相談予約(面談の事前準備として) 3. 税理士にスポット相談予約(決算書整理)
この3つを今週中にやれば、来月の動きが大きく変わります。
あなたの院、追加融資の準備、何から始めますか?
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→ 鍼灸院 開業1-2年目の生活費の作り方|家計と事業の分離設計
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