導入|産業廃棄物の20種類分類で迷う排出事業者へ
製造業・建設業・医療機関・物流業の社長さん、こんな状況ありませんか?
- 「自社で出る廃棄物が産業廃棄物なのか一般廃棄物なのか判断がつかない」
- 「廃プラスチックと廃油を混ぜて処分業者に渡してしまっていた」
- 「マニフェストの『廃棄物の種類』欄に何を書けば正解か分からない」
- 「特別管理産業廃棄物に該当するかの線引きが曖昧で不安」
産業廃棄物の分類は、事業活動から出る廃棄物の処理責任を担う排出事業者にとって、業務の出発点となる知識です。廃棄物処理法で定められた20種類の分類を正しく理解できないまま処分を委託すると、マニフェスト記載ミス・処分業者の選定ミス・最悪の場合は不法投棄の責任まで波及します。
しかし、20種類は「あらゆる事業から出る7種類」と「特定の事業から出る13種類」に区分されており、さらに特別管理産業廃棄物という別枠もあるため、実務担当者が一度で覚えるには情報量が多すぎます。
結論から言うと、産業廃棄物の20種類は『業種で何が出るか』のマップさえ持てば、現場で迷わなくなります。本記事では、20種類すべてを分類フローと業種別早見表で実務直結の形に整理しました
本記事は保存版として、廃棄物管理担当者の机上チェックリストとしてご活用ください。
産業廃棄物 20種類 全体マップ

産業廃棄物は、廃棄物処理法第2条第4項で定められた20種類から構成されます。区分は以下の通りです。
| 区分 | 種類数 | 概要 |
|---|---|---|
| A:あらゆる事業活動から出る7種類 | 7 | 業種を問わず排出される基本廃棄物 |
| B:特定の事業活動から出る13種類 | 13 | 業種・原料由来で限定される廃棄物 |
20種類だけ?意外とシンプルなんですね
種類自体はシンプルですが、1つでも分類を誤るとマニフェスト違反・処分委託先選定ミスに直結します。次から1種類ずつ整理していきます
分類A|あらゆる事業から出る 7種類

業種を問わず、事業活動から出れば産業廃棄物となる7種類です。
① 燃え殻
焼却炉で出る焼却残さ・石炭がら・コークス灰など。事業所の焼却処理後に残る灰類が該当します。
② 汚泥
工場排水処理後の沈殿物・建設汚泥(地下工事の泥水)・各種製造工程で出るペースト状残さ。含水率による業種別判定に注意が必要です。
③ 廃油
潤滑油・絶縁油・洗浄油・切削油など。引火点70℃未満の廃油は特別管理産業廃棄物に該当します。
④ 廃酸
pH 2.0以下の酸性廃液。めっき廃液・洗浄廃液・蓄電池の電解液など。特別管理産業廃棄物(pH 2.0以下は特管)の判定が重要。
⑤ 廃アルカリ
pH 12.5以上のアルカリ性廃液。アルカリ洗浄廃液・現像廃液など。pH 12.5以上は特別管理産業廃棄物となります。
⑥ 廃プラスチック類
合成樹脂くず・合成繊維くず・梱包材・PETボトル・廃タイヤなど。産業廃棄物の中で最も排出量が多い種類の1つです。
⑦ ゴムくず
天然ゴム由来のゴムくず(合成ゴムは⑥廃プラスチック類)。自動車関連業界で混同しやすいので注意が必要です。
分類B|特定の事業から出る 13種類
特定業種または特定の原料・工程から出る13種類です。業種コードと紐付けることで分類が明確になります。
⑧ 紙くず
建設業・パルプ製造業・印刷業など特定業種から出る紙くずのみ。一般オフィスの紙くずは事業系一般廃棄物となるので要注意。
⑨ 木くず
建設業・木材製造業・パレット製造業など特定業種から出る木くず。建設現場で出る端材・解体木材などが該当。
⑩ 繊維くず
建設業・繊維工業から出る天然繊維くず。合成繊維は⑥廃プラスチック類。
⑪ 動植物性残さ
食品製造業・医薬品製造業・香料製造業の原料由来の残さ。飲食店の生ごみは事業系一般廃棄物となるので要注意。
⑫ 動物系固形不要物
と畜場でと畜された獣畜・食鳥処理場で処理された食鳥に係る固形状の不要物。
⑬ 金属くず
業種を問わず、金属の切削くず・廃材・廃製品。建設・製造・解体・自動車整備など多くの業種で発生。
⑭ ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず
建設廃材・廃ビン・廃食器類。建設業のがれき類とは別カテゴリなので分類注意。
⑮ 鉱さい
鉱業・金属精錬から出るスラグ・ダスト類。
⑯ がれき類
工作物の新築・改築・解体に伴って生ずるコンクリート破片・アスファルト破片・レンガくず。建設業の主要排出物です。
⑰ ばいじん
大気汚染防止法上のばい煙発生施設・産業廃棄物焼却施設などから出る集じん装置で集めたダスト。
⑱ 動物のふん尿
畜産農業から排出される牛・豚・鶏のふん尿。
⑲ 動物の死体
畜産農業から排出される動物の死体。
⑳ 上記の処分のために処理したもの
①〜⑲の産業廃棄物を処理した結果生じる二次廃棄物。中間処理施設で発生する廃棄物が該当。
特別管理産業廃棄物(特管)の位置づけ
20種類とは別枠で、爆発性・毒性・感染性・人体への健康被害リスクがある廃棄物は「特別管理産業廃棄物」として、より厳格な管理が義務付けられます。
主な特別管理産業廃棄物
| 区分 | 該当物 | 特別管理理由 |
|---|---|---|
| 特管廃油 | 引火点70℃未満の廃油 | 火災リスク |
| 特管廃酸 | pH 2.0以下の廃酸 | 強腐食性 |
| 特管廃アルカリ | pH 12.5以上の廃アルカリ | 強腐食性 |
| 感染性産業廃棄物 | 医療機関由来の血液付着物・注射針など | 感染リスク |
| 特定有害産業廃棄物 | PCB含有物・水銀使用製品・廃石綿等 | 毒性・健康被害 |
特管事業者の選任義務
特別管理産業廃棄物を排出する事業者は、事業場ごとに「特別管理産業廃棄物管理責任者」を選任しなければなりません(廃棄物処理法第12条の2第8項)。未選任は30万円以下の罰金対象。
特管の判定は『廃棄物の量』ではなく『性状』で決まる点が重要。少量でも特管に該当すれば、収集運搬・処分業者の許可も特管対応の業者でなければ委託できません
業種別 排出物 早見表(保存版)

排出事業者が自社業種で何が出るかを一覧化した実務マトリクスです。
| 業種 | 廃プラ | 金属くず | 木くず | 紙くず | 廃油 | 汚泥 | がれき | 動植物残さ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 製造業(金属) | ✓ | ✓ | – | ✓ | ✓ | ✓ | – | – |
| 建設業 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | – |
| 食品製造業 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | – | ✓ |
| 印刷業 | ✓ | – | – | ✓ | – | ✓ | – | – |
| 自動車整備業 | ✓ | ✓ | – | – | ✓ | – | – | – |
| 病院・診療所 | ✓ | ✓ | – | – | – | – | – | – |
| 物流・倉庫業 | ✓ | – | ✓ | ✓ | – | – | – | – |
| 化学工場 | ✓ | – | – | – | ✓ | ✓ | – | – |
うちの業種、こんなに種類出してるんですね…
業種ごとに出る廃棄物の組み合わせは決まっています。まずは自社業種の行で『チェックがついている廃棄物』だけ徹底管理すれば、現場の8割はカバーできます
種類別 標準処分単価相場

廃棄物の種類によって、処分単価には大きな差があります。自社業種の主要排出物の単価を把握することは、コスト管理の第一歩です。
kg単価レンジ早見表(一般的な相場・参考値)
| 種類 | kg単価レンジ | 備考 |
|---|---|---|
| 廃プラスチック類 | 30〜80円 | 種類によりリサイクル可否で変動 |
| 木くず | 10〜60円 | チップ化リサイクルで安価化 |
| 紙くず | 20〜60円 | 機密文書は専門処分で別レンジ |
| 金属くず | 0〜40円 | 有価物として売却できる場合あり |
| がれき類 | 30〜80円 | 再生骨材リサイクルで変動 |
| 燃え殻 | 60〜100円 | 焼却残さで処分先限定 |
| 汚泥 | 30〜100円 | 含水率で大きく変動 |
| 廃石綿等(特管) | 100〜200円 | 特管対応業者のみ受託可能 |
※相場は地域・処分業者・収集運搬距離・廃棄物の状態(含水・汚染度等)で変動します。実際の見積もりは複数業者への問い合わせが推奨されます。
単価が安い廃棄物ほど『大量処分』で利益が出る業者が受託します。少量・特殊性状の廃棄物は単価が跳ね上がる傾向があるため、自社の排出量・性状を整理してから業者選定するのが鉄則です
マニフェストとの紐付け

産業廃棄物の処理委託では、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付が法律で義務付けられています。20種類の分類は、マニフェストの「廃棄物の種類」欄に直結します。
紙マニフェスト 7票の役割
| 票 | 用途 | 保管者 |
|---|---|---|
| A票 | 排出事業者控(交付時) | 排出事業者(5年保管) |
| B1票 | 収集運搬業者控(運搬終了時) | 収集運搬業者 |
| B2票 | 排出事業者控(運搬終了確認) | 排出事業者(5年保管) |
| C1票 | 処分業者控(処分終了時) | 処分業者 |
| C2票 | 収集運搬業者控(処分終了確認) | 収集運搬業者 |
| D票 | 排出事業者控(処分終了確認) | 排出事業者(5年保管) |
| E票 | 排出事業者控(最終処分終了確認) | 排出事業者(5年保管) |
種類記入のNGパターン
- 「産廃」「廃棄物」など抽象的な記載は法律違反
- 「廃プラ+金属」など複数種類の混合記載は不可(種類ごとに分けて交付)
- 特管廃棄物を通常マニフェストで処理(特管マニフェストが別途必要)
よくある分類ミス 5パターン
排出事業者が現場でやりがちな分類ミスをまとめました。
ミス①:オフィス紙くずを産業廃棄物として処分
一般事務所から出る紙くず(不要書類等)は、事業系一般廃棄物で、産業廃棄物ではありません。建設業・パルプ業・印刷業など特定業種以外の紙くずは産廃扱いになりません。
ミス②:飲食店の生ごみを動植物性残さで処分
飲食店から出る食品残渣は、事業系一般廃棄物です。食品製造業・医薬品製造業の原料由来残さのみが産廃の動植物性残さに該当します。
ミス③:廃油の引火点判定を怠って通常委託
引火点70℃未満の廃油は特別管理産業廃棄物。特管対応業者でないと収集運搬・処分の許可違反となります。
ミス④:合成繊維くずを繊維くずで処分
合成繊維(ポリエステル・ナイロン等)は廃プラスチック類で、繊維くず(天然繊維のみ)と区別が必要。
ミス⑤:医療機関の感染性廃棄物を通常マニフェストで処理
血液付着物・注射針などは感染性産業廃棄物(特管)。特別管理産業廃棄物管理責任者の選任と特管マニフェストでの管理が必要。
分類ミスは罰金・行政指導・取引先からの信頼低下につながります。年1回の社内研修と業務マニュアル整備が、リスク回避の最も実用的な対策です
よくあるご質問
Q1一般廃棄物との違いは?
Q2自社で処分しても良い?
Q3産業廃棄物管理票(マニフェスト)の保管期間は?
Q4委託先の業者が違反したら排出事業者の責任は?
Q5多量排出事業者とは?
Q6業種コードは何のために?
まとめ|適正処理は事業者責任の出発点

産業廃棄物の20種類分類は、「業種で何が出るか」のマップさえ手元にあれば、現場の判断は8割楽になります。
ただし、特別管理産業廃棄物の判定と業種別の特定排出物は専門知識が必要なため、自社の主要排出物リストと信頼できる処分業者の確保が、コンプライアンスとコスト管理の両立につながります。
重要なポイント:
- 20種類は「あらゆる事業7種類+特定事業13種類」で構成
- 特別管理産業廃棄物(特管)は性状で判定・別枠管理
- マニフェストの「廃棄物の種類」欄は20種類の正式名で記載
- 排出事業者責任は委託先の違反まで及ぶ
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