開業1年目の鍼灸院オーナーが最初に直面する大きな実務が「確定申告」です。施術技術には自信があっても、帳簿付け・仕訳・必要書類──と聞いた途端に頭が痛くなる院長は多いはず。けれど、確定申告は正しい順序で準備すれば1-2年目から十分こなせる実務です。
この記事では、鍼灸院の確定申告を開業1年目院長向けに、青色申告のメリット・必要書類・仕訳の基本・税理士に頼むタイミングまで業界従事者目線で徹底解説します。
確定申告って何から手を付けたらいいんですか?聞いたこともない用語ばかりで…
鍼灸院の1年目は特に複雑です。青色申告を選ぶかどうかだけ先に決めれば、あとは順番に進めれば大丈夫ですよ
こんな悩みを抱えていませんか?
経費って何が認められるんですか?青色申告と白色の違いも分からなくて…
開業1年目の院長さんのほぼ全員が同じ悩みです。1度全体像を整理すれば、来年からは見通せるようになります
- 開業1年目で確定申告のやり方が分からない
- 青色申告と白色申告、どちらを選ぶべきか判断できない
- 経費に何を計上できるか分からない
- 領収書がぐちゃぐちゃで整理する気力が湧かない
- 自分でやるか税理士に頼むか迷っている
- 売上計算が療養費と自費で混ざって複雑
- 来年に向けて今から何を準備すべきか分からない
ひとつでも当てはまるなら、この記事はあなたのために書いています。
確定申告の3つの形式|まず全体像を理解する
確定申告って種類があるんですか?
3種類あります。白色申告・青色申告10万円控除・青色申告65万円控除。1年目院長は青色申告65万円を選ぶのがほぼ正解です
確定申告には大きく3つの形式があります。鍼灸院オーナーがどれを選ぶべきかは、「控除額」と「帳簿の複雑さ」のバランスで決まります。
3形式の比較表
| 項目 | 白色申告 | 青色申告10万円 | 青色申告65万円 |
|---|---|---|---|
| 控除額 | なし | 10万円 | 65万円 |
| 帳簿の複雑さ | 簡単 | 中 | やや複雑 |
| 必要な届出 | なし | 青色申告承認申請書 | 同左 |
| 帳簿形式 | 簡易帳簿 | 簡易帳簿 | 複式簿記 |
| e-Tax提出 | 任意 | 任意 | 必須(65万円控除条件) |
鍼灸院オーナーが選ぶべき形式
開業1年目の鍼灸院オーナーは、青色申告65万円控除を選ぶのがほぼ正解です。
理由:
- 控除額65万円 = 節税効果が大きい(所得税・住民税合わせて約13万円の節税)
- 複式簿記 = 会計ソフトを使えば実は難しくない
- e-Tax = 税務署に行かずに済む
青色申告のメリットと条件
65万円控除って大きいですね!何か条件あるんですか?
条件は3つだけ。青色申告承認申請書の提出・複式簿記での記帳・e-Taxでの提出。これを満たせば65万円控除が使えます
青色申告65万円控除には、明確な条件があります。
青色申告65万円控除の3条件
1. 青色申告承認申請書を税務署に提出済み(開業から2ヶ月以内 or その年の3月15日まで) 2. 複式簿記で記帳している 3. e-Tax(電子申告)で提出 or 電子帳簿保存
青色申告のその他のメリット
控除65万円以外にも、青色申告にはメリットがあります:
- 赤字を3年間繰り越せる(1年目赤字でも翌年以降で相殺可能)
- 30万円未満の備品を全額即時経費にできる(少額減価償却資産の特例)
- 配偶者・家族への給与を経費にできる(青色事業専従者給与)
- 自宅家賃の一部を経費にできる(事業按分)
1年目に青色申告承認申請書を出していない場合
開業届と一緒に青色申告承認申請書を出していなかった場合、1年目は白色申告で対応するしかありません。ただし、翌年から青色申告に切り替え可能です。次の年の3月15日までに青色申告承認申請書を出せば、翌年分から65万円控除が使えます。
確定申告に必要な書類リスト
具体的に何を準備すればいいんですか?
8つの書類が必要です。順番に準備すれば1日で揃いますよ
確定申告には複数の書類が必要です。1日で揃えられるリストとして整理します。
鍼灸院の確定申告 必要書類8リスト
1. マイナンバーカード(or 通知カード+本人確認書類) 2. 確定申告書B(青色申告は確定申告書Bを使用) 3. 青色申告決算書(損益計算書・貸借対照表) 4. 売上帳簿(療養費・自費の月別売上一覧) 5. 経費領収書(家賃・水道光熱費・備品・施術材料 等) 6. 国民健康保険・国民年金の支払証明書(社会保険料控除) 7. 生命保険料控除証明書(生命保険料控除) 8. 小規模企業共済の掛金払込証明書(加入していれば)
鍼灸院特有の書類
療養費(保険適用)を取り扱う鍼灸院は、追加で以下も用意します:
- 療養費請求書の控え(月別売上の根拠)
- 医師同意書のコピー(療養費請求の根拠書類)
鍼灸院の経費にできる項目リスト
経費って、こんなにあるんですね…!
鍼灸院は経費項目が多い業種です。取りこぼしなく経費計上するだけで、節税効果は大きく変わります
鍼灸院オーナーが経費にできる項目は、想像以上に多岐にわたります。
鍼灸院の経費12カテゴリ
| カテゴリ | 具体例 |
|---|---|
| 施術材料 | 鍼・お灸・テープ・消毒液 |
| 施術備品 | ベッド・タオル・電気治療器 |
| 家賃・賃料 | 院の家賃・駐車場代 |
| 水道光熱費 | 電気・水道・ガス |
| 通信費 | 電話・インターネット・公式LINE等 |
| 広告宣伝費 | チラシ・看板・HP制作費・MEO代行費 |
| 消耗品費 | 文房具・印刷用紙・封筒 |
| 租税公課 | 印紙代・登録免許税・固定資産税 |
| 研修費 | 業界セミナー・書籍・勉強会参加費 |
| 車両費 | 出張鍼灸の交通費・車両維持費(事業按分) |
| 減価償却費 | 高額機器(電気治療器等30万円以上) |
| 専従者給与 | 配偶者・家族への給与(青色専従者) |
自宅兼院の場合の按分計算
自宅の一部を施術院にしている場合、家賃・光熱費の一部を経費に計上できます:
- 家賃:院として使用している床面積比で按分(例:40㎡中16㎡使用 → 家賃の40%)
- 電気代:施術時間/24時間 × 床面積比で按分
- 水道代:施術時の使用量を推計(30-50%程度が一般的)
按分計算は根拠を明確にすれば税務署も認める範囲です。
→ 鍼灸院 1-2年目 経費計上できるもの全リスト → 鍼灸院 1-2年目 開業時の借金返済プレッシャーから抜け出す経営設計
仕訳の基本|複式簿記の最低限ルール
複式簿記って難しそうで…独学で覚えられますか?
会計ソフトを使えば仕訳の知識ゼロでも大丈夫です。覚えるのは『借方・貸方の最低限ルール』だけ
複式簿記と聞くと身構えますが、現代は会計ソフトがほぼ自動で仕訳してくれます。覚えるべきは最低限のルールだけです。
仕訳の基本ルール
複式簿記は「取引を借方と貸方の2面で記録する」考え方です。
例:1月10日に5,000円の自費施術売上があった場合
借方:現金 5,000円 / 貸方:売上 5,000円
例:2月15日に鍼を10,000円購入した場合
借方:消耗品費 10,000円 / 貸方:現金 10,000円
会計ソフトを使えば仕訳は自動
freee(フリー)・マネーフォワード・弥生会計等の会計ソフトを使えば、以下が自動化されます:
- 銀行口座・クレジットカードと連携 → 自動仕訳
- レシート読み取り → 自動仕訳
- 決算書の自動作成 → 印刷or e-Tax提出
月額1,000円〜2,000円程度の投資で、確定申告の作業時間が10分の1になります。
鍼灸院オーナーが使うべき会計ソフト
- freee:初心者向け・UIが直感的
- マネーフォワード:銀行連携が強い
- 弥生会計オンライン:老舗・税理士連携しやすい
どれを選んでも問題ありません。「やよいの青色申告オンライン」は1年間無料で使えるプランもあるので、開業1年目におすすめです。
自分でやるか税理士に頼むか
税理士って高そうで…でも自分でやると間違いそうで不安です
売上の規模で判断するのが鉄則です。年商500万円以下なら自分でOK・1,000万円超えたら税理士検討、が目安です
自分でやるか税理士に頼むかは、売上規模と時間コストのバランスで決まります。
売上規模別の判断目安
| 年商 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 〜500万円 | 自分でやる | 会計ソフトで十分対応可能 |
| 500〜1,000万円 | 自分でやる(スポット相談) | 期末だけ税理士相談 |
| 1,000万円〜 | 顧問契約検討 | 消費税課税事業者になり複雑化 |
| 1,500万円〜 | 顧問契約推奨 | 節税余地が大きくなる |
税理士費用の相場
- スポット相談:1回1-2万円(確定申告期のみ)
- 記帳代行:月額1-3万円(記帳を全部任せる)
- 顧問契約:月額2-5万円+決算料10-30万円
鍼灸院に強い税理士の選び方
鍼灸院特有の論点(療養費の売上計上・医師同意書の経費性等)を理解している税理士を選びます:
1. 業種特化サイトで検索(治療院系特化の税理士事務所) 2. 業界先輩の紹介を受ける 3. 初回無料相談で鍼灸院の知識を確認
確定申告のスケジュール|1年間の流れ
いつから準備を始めればいいんですか?
年明けからじゃ遅すぎます。毎月仕訳しておくのが鉄則。3月15日に駆け込むのが一番危険です
確定申告は「3月にやる」のではなく「1年かけて準備する」ものです。
鍼灸院オーナーの年間スケジュール
| 月 | やること |
|---|---|
| 1月 | 前年分の領収書・帳簿の最終確認 |
| 2月 | 確定申告書類の作成・e-Tax準備 |
| 2/16-3/15 | 確定申告期間(提出) |
| 4-12月 | 毎月の仕訳・領収書整理・月次決算 |
| 9月 | 中間納税(前年所得税×1/2)の納付 |
| 11月 | 中間納税2回目 |
| 12月 | 年末調整・12月分仕訳完了 |
毎月やるべき5つのこと
1. 領収書の整理(月末に1時間でOK) 2. 会計ソフトへの仕訳入力(自動連携で時短) 3. 売上計算(療養費・自費別に集計) 4. 経費レシートのスキャン(電子帳簿保存対応) 5. 月次損益の確認(先月との比較)
毎月1時間の習慣を作るだけで、3月の駆け込みがなくなります。
→ 鍼灸院 1-2年目 月次レポート 最初のテンプレ → 鍼灸院 1-2年目 売上分析|お客様1人の生涯売上の出し方
来年に向けた帳簿準備|今すぐやるべき7アクション
来年こそスムーズに確定申告したいです!
今すぐやるべきこと7つにまとめました。全部やれば来年の確定申告は半分の時間で終わります
来年の確定申告をスムーズにするための、今すぐやるべきアクションを整理します。
1. 青色申告承認申請書を提出(まだなら3月15日までに) 2. 会計ソフトに申し込む(freee/MF/弥生のいずれか) 3. 事業用口座を分ける(生活費との混在を防ぐ) 4. クレジットカードを事業用に統一(自動仕訳の基盤) 5. 領収書ファイルを月別に作成(紙でも電子でもOK) 6. 施術メニュー別の売上集計フォーマットを作る 7. 税理士の初回無料相談を1件予約(情報収集だけでもOK)
この7つを今月中にやれば、来年の確定申告は今年の半分の時間で終わります。
まとめ:確定申告は「正しい順序で1年かけて準備する」もの
3月に焦るんじゃなく、毎月コツコツやればいいんですね
その通りです。確定申告は『習慣の積み重ね』。毎月1時間の仕訳が、3月の駆け込みをなくしてくれますよ
鍼灸院オーナーの確定申告は、正しい順序で準備すれば1-2年目から十分こなせる実務です。
青色申告65万円控除を選び、会計ソフトを導入し、毎月1時間の仕訳習慣を作る──。これだけで来年の確定申告は今年の半分の時間で終わります。
そして、年商1,000万円が見えてきたら税理士の顧問契約を検討。経営の数字管理を税理士に委ねることで、院長は施術と集客に集中できるようになります。
あなたの来年の確定申告、今月から準備を始めますか?
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